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 デイ・アフター・トゥモロー(原題:The Day After Tomorrow)
   監 督 :ローランド・エメリッヒ(他の作品:インデペンデンス・デイ 等)
   ジャンル:パニック
   2004年  アメリカ






 この頃としては最高水準のCGで今(2016年)見ても、これ以上はいらない!という位の出来です。
 ハイスクールのクイズ大会に出演するサム(気象学者ジャックの息子:ジェイク・ギレンホール)、ローラ(賢くてやさしい美少女。サムはローラにつられてクイズ大会に出場!:エミー・ロッサム)が、いいです!
 地球温暖化によって気候のバランスがくずれ、突然氷河期に突入してしまうという、見ていると創り事とは思えない現実味を持って迫ってくるリアルな映画です。

注)以下、ネタバレだらけです!

【あらすじ】
 気象学者ジャック(デニス・クエイド)は観測値と独自のシュミレーションによっていずれ気候の寒冷化が起こる事を予想しますが誰も認めてくれません。
 しかしそれは突然ジャックの予想を超えた速さで始まります。
 超強力なハリケーン、雹、竜巻等が頻発しやっと政府が重い腰を上げた時、すでにアメリカの北半分は見捨てざるを得ない状況になっています。
 そのとき、サムやローラ達はクイズ大会会場のニューヨークにいますが、大津波に襲われかろうじて図書館に逃げ込み、次に襲ってきた寒波を図書館の本を燃やして耐えながら、ジャックの最後の電話の言葉「動くな! 助けに行く!」を信じて待ちます。
 しかしローラは避難途中の怪我から敗血症を発症してしまい、薬を探しに外へでたサムと仲間たちは、動物園から脱走したオオカミの群れに襲われて … 。

【感想】
 血圧の高そうな(?)デニス・クエイドが、熱血気象学者を好演しています。
 若いジェイク・ギレンホールとエミー・ロッサムが共演しています。
 ジェイク・ギレンホールは独特の雰囲気のある人ですね。
 この後も活躍しています。
 エミー・ロッサムはどこかホンワカとした美人ですが、ちょっとブランクがあったような気がします。

 




上空から、瞬時に全てを凍結させる破壊的な冷気が音を立てて下降してきます!
サムは怪我をした友人を抱えて瀕死のローラの元に薬を届けられるか…。
積もった雪の上を建物の入り口に向かって必死で走る!。



 ワシントンDC(たぶん)にいるジャック(サムの父親)、その妻(医者、サムの母親)、ニューヨークで孤立してしまったサム達、を柱に、その周辺を巻き込みながらストーリーは進んでいきます。
 やることをやってしまったジャックは仲間二人とニューヨークのサム達を助けに向かいますが途中で車を失い、大切な古い友人の一人までも失い、それでも息子の無事を信じて徒歩で図書館を目指します。
 他の登場人物も、お互いを気遣いながらそれぞれの立場で頑張るのです。
 登場人物は皆いい人で、悪役担当はジャックの話をちっとも聞かない副大統領くらいですので、見ていてストレスを感じません。

 VFXもちょっとやり過ぎ感のあるところもありますがとても迫力があり、特にニューヨークを襲う津波の迫力はすごいです!
 それにこの映画の前提になっているジャックの気候変動の理屈が素人にも分かりやすく説明されていて、見ていて入り込み易いですね。
 本当にこんな事が起きるんじゃないか、と心配になってきます。
 上空から冷気が押し寄せているのに地上は大して風がなかったり、図書館に着いたジャックはそれからどうやって皆を助けるつもりだったのか? なんて事を気にしていてはダメですよ!

 映画としては削り落せる贅肉もあるように思いますが迫力のある映像と地道な脚本で、本当に大事なものを間違って判断してはいないか?と自問してしまうような、良質の小説を読んでいるように楽しめます!
 ラストに、ローラに寄りかかられているサムにジャックが微笑みかけるシーンを見て、なんだこの映画はラブストーリーだったのか! って思わないでもないですが … いや、それでもおもしろいです。


 ただ、舞台に東京もちょこっと出てきますが、なんだか中国の下町みたいなんですよ。
 監督(ローランド・エメリッヒ)はあまりアジアには詳しくないのかもね …。


 


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